金田 千依

2020年9月20日

赤ちゃんは風邪をひかない?

最終更新: 2021年7月24日

「赤ちゃんはお腹にいるとき、お母さんから免疫をもらっているから風邪をひかない」

「母乳で育てると風邪をひかない」


 

とか、聞くことはありませんか?


 

今日はそれが本当なのかどうか、お話ししていきたいと思います。


 

わたしたちの体は、様々な免疫物質によって病気から守られていますよね。

赤ちゃんは、病原体のいないお腹のなかから、菌やウイルスがたくさんいる世の中に出てこなければいけません。


 

ですから、お腹のなかにいるうちに、お母さんから「免疫グロブリンG」という免疫物質をもらいます。

「免疫グロブリンG」は、細菌やウイルスから赤ちゃんを守る働きをしてくれます。


 

産まれたときの「免疫グロブリンG」の濃度はお母さんと同じくらい濃いのですが、生まれたときをピークに徐々に減っていきます。


 

生後2~4ヵ月ころには大人の半分~1/3くらいまで減ってしまいます。


 

そして、赤ちゃんは4ヵ月くらいから、自前の免疫をつけていけるようになります。

でもまだまだ未熟ですから、赤ちゃんは病気に対する抵抗力は弱いのです。


 

成熟した大人でも、疲れなどで抵抗力が弱まると、風邪をひいたりしますよね。

ですから、たとえ免疫をもらっていても


 

「全ての感染症を防げるわけではない」

「赤ちゃんは病気に対する抵抗力は弱い」


 

と思っていてください。


 

そんな抵抗力の低い赤ちゃんの助けになるのが母乳です。

初乳のなかに多く含まれる「免疫グロブリンA」などの免疫物質が、細菌やウイルスの侵入を防いだり、戦ってくれます。


 

また、お母さんの周りに、風邪ウイルスのような病原体がいるとき、お母さんの母乳には、その病原体から赤ちゃんを守るための「抗体」が含まれて出てくるのです。


 

まだ未熟な赤ちゃんですから、お腹のなかでもらった免疫や母乳育児は、完ぺきに風邪や感染症を防ぐ、というわけではないかもしれません。


 

ですが、母乳をあげることで


 

・感染症にかかりにくくなったり

・重症にならないようにしたり

・早く治りやすくなる

という効果はあるのです。

また、例え母乳をあげられないとしても、

肌と肌で触れ合うことは、お母さんの常在菌を赤ちゃんに与え、悪い菌が定着することを防ぐことができます。

ぜひたくさん赤ちゃんを抱きしめてください。

    9